メモ術&文章術

2019年2月2日 0 投稿者: terakoya

母がブログの書き方の本みたいなものを読んでいたく感銘を受けたらしく、要点を話してくれた。ブログ以外にも役立ちそうな場面があると思ったので、覚書をシェア。

母が話してくれたブログメソッドは以下の通り:
・まずタイトルをつける(仮のものでOK)
・箇条書き用の点を三つ打つ
・締めの文を書く
・さっきの点に書きたい内容の見出し(要点)を箇条書きする

  どういう方面でこれが役立ちそうかというと、まずメモ術。アイディアというのは前の晩の夢みたいなもので、ぼやぼやしていると霧散してしまう。書き留めようにも、悠長に書いている時間は忙しい現代人にはなかなかないし、想像の拡大していくスピードに手が追いつかないということもあるだろう。そして、あまりにも簡素なメモを残してしまうと、その時の自分には理解できても、数日後に見ると「なんのこっちゃ???」ということも珍しくない。ゆえに、ある程度自分の考えの流れや文脈をなぞったメモがよろしい。メモをテンプレ化して、中心的テーマを題名に据え、考えのマイルストーンに当たるような文言やキーワードを見出しとして振っていく。ここまでやれば、後で見返した時にもそこそこ輪郭を保っているはずだ。

  また、思考というのはアウトプットを前提にすると断然出来が違う。人に教えると自分の理解が深まるのと似たようなことである。アウトプット、すなわち人にアイディアを伝えることを目指す場合、断片的で混沌としたアイディアの原型のままでは話にならない。どんなアイディアなのか、どういった点が面白いのか、あるとすれば課題はなんなのか、などなど、ひとつながりの「構造」の体をなしている必要がある。出発点と着地点を明確にし、中間構造に膨らみを持たせているこのテンプレなら、そこそここの構造化が癖付くのではないだろうか。テンプレを元にメモを書く→メモを元にちゃんと文章を書くということを繰り返していると、文章を書く上で必要なメモ内容というのが分かってくる(つまり、メモをメタ視点で見られるようになる)。そうすると、ごく自然に構造的なものの考え方ができるようになってくるはずである。

  さて、ここまで来たらこのテンプレメモは文章のアウトラインとして機能しうるということになる。そう、このテンプレはそのまま小論文(エッセイ)やプレゼンに役立てられる代物なのである。

タイトル:
  まぁタイトルは最後でもいいのかもしれないが、全体のぼんやりしたイメージを自分の中に作るのに有効である。文章の構造化が頭の中でできる人は、タイトルは最後でいいかもしれない。不得意な人は、タイトルをつけることによってカオスな頭の中を整理する第一歩になる。いわば、まず一番大きいカテゴリーを作ることで半強制的に内容を絞り込む、ということだ。脱線を防ぐことにもなるし、論じる優先順位が自然に決まる。例えば、エコについてあれこれ考えているとして、コンポスト設置とか分別強化とか、あるいは地産地消や農協の制度的問題なんかが連想ゲーム宜しく、てんで勝手に脳内を駆け巡っている。ここで、「生ゴミの処理方法」と銘打ったら、ある程度の最大公約数として全体をつないでくれるし、地産地消や農協の話は処理よりも生産寄りなので、優先順位が下がることが分かる(でもこれはアイディアに広がりを持たせるためには有用な内容なので、下位項目としてキープできる)。

  ブログの場合は、このタイトルは後でSEO対策のためキーワードを入れ込んで行ったりするのだが、そうでなくても全部書き終わった時点でタイトルが内容をきちんと表しているかをチェックするのは非常に大事である。そうでないと、先ほどの例で言えば、気づいたら下位項目であるはずの生産系の話ばかりになっていたりするので、タイトルか本文のどちらかに手を入れないと支離滅裂になってしまう。

締めの文:
  最後の締めの一文を書く時は、タイトルを受けて整合性の取れるようにするのが良い。スタート地点と着地点を明確にすることによって、論点がずれるのを防ぐことができる。ストーリー性を持った起承転結の文章であればオチを決めればいいし、そうでなければ一番言いたい大事なことを一言でいえばいい。いわば、最終文はthesis statement(論文における中心的主張)の役割を果たすのである。もちろん、この後に箇条書きの点を埋めていった結果、中心的主張が変わったって良い(それにもちろん、箇条書きの点を先に埋めてしまっても構わない)。大切なのは、このメモが全体としてのまとまりを持ったものであることである。ブログにしろ小論文にしろ、何についての話だかよく分からないものをダラダラと読んだり聞いたりさせられるとイライラするものだ。だから、タイトル・本文・締めの文を行ったり来たりして、きちんと整合性が取れているかどうかに常に目を光らせなければならない。バランスが崩れてしまったらどこをどう直すべきかを考える練習にもなる。内容があまりにもバラついて一言では締められない場合は、タイトルを決めるときに定めたカテゴリーが狭すぎたということなので、カテゴリーを広げてあげるか、整合性の低い内容を思い切ってバッサリ切ろう。

本文の箇条書き:
  ブログの場合は字数と内容の密度的に点が3つとしてあるが、小論文などでは最低2つでも良いだろう(字数によるが)。下位項目で各点の下にさらに点を2つ3つ打っても良い。アイディアが素晴らしく広がるようであれば、たくさん点を打ったって良い。文脈にそぐわないものは後で除外すればいいのだ。問題は広がらない時であるが、むしろそんな時のためにこの点を打っていると言っていい。この点があることで、視覚的に思考の「余白」が生まれる。「まだ表に出ていない考えがある」というイメージに無意識になるのだ。しかし、頭を抱えたって何も出てこない時は、他の点の部分を詰めて考えると良い。別のことに集中している間に、ポッといい考えが浮かんだりするものだ。そして、「余白」を持った思考はその考えを受け止める準備があらかじめできているのである。

  さて書き方に関してだが、まず最初に見出しをつける。見出しが有効なのは、「つまりこの段落を一言で表すと?」が決まり、ブレていれば修正するきっかけになってくれるからである。要約や結論の先出しの練習にもなるので、ここはきっちりやるといいと思う。

  そして最後に…チェック!確認!REVIEW!さっきから口を酸っぱくして何度も言っているが、必ずチェックをしよう。タイトルー本文ー結論は一貫しているか?論点がブレていないか?各パーツを適切に一言で表せているか?内容にダブりや漏れはないか?最初にイメージしていたものとどう変わっている?どれぐらい時間がかかった?このメモを文字に起こすのにはどれぐらいかかる?面白いか?

  私も最近はこのメモ方式だが、やはりメモ時点の記憶の再生が楽だし、構成から考え始めなくていいので文章作成がかなり楽になった。上記のことを意識的にやればメモも文章もかなり上達するはずなので、ぜひやってみてほしい。